続・換気
- 益子晃人

- 11月10日
- 読了時間: 4分
那須で新築工事中のNW-Baseは、ちょっとした仕様変更もありバタバタしております(汗)
以前書いていた換気と換気と(8/4ブログ)もさわりの部分しか書いていなかったので、改めて続きを。
弊社の床構造の仕様は、昔ながらの根太構造。 その根太分の高さを活かした通気をさせるのですが、根太の角材を『|||』ように取りつければ、前後の部分は||の間から通気を確保出来ます。 しかし、▻||◅ 左右の部分は通常壁側に固定することが多くなり、通気が難しくなります。
そこをあえて、通気胴縁を据え付け通気を確保します。


こちらのNW-Baseでは、床ガラリを設けない仕様のため こういった壁通気をさせて、床下コンクリート基礎に含まれる湿気も小屋裏へ通気させます。 空気やその含まれる湿気は、気温の低い方から高い方へ移動します。 いわゆる自然対流による換気をさせます。 逆に暖かい空気に押し出された暖かくない空気が、小屋裏から床下へ下がります。
温度差があれば、このように循環していくのですが
高気密高断熱化されたお家は、一定程度時間が経つと自然対流だけでは建物構造の換気が少なくなっていきます。 そこで、通常居室を換気させる“第三種換気”でもある日本住環境さんのピアラ(ルフロ)の分岐のうちのひとつの排気ダクトを居室ではなく、構造の換気に採り入れます!

以前に描いてみたイメージ。
(オリジナルの工法です!) できるだけ小屋裏の高いところから排気させます。 冬場は、暖めた熱を捨ててしまうのももったいないようにみえますが、実際は通常換気している分なので、変わらないのです。 もっといえば、居室分でなく小屋裏の一部なのです。
それよりも夏場の高湿状態は、より小屋裏が高湿となります。
その高い部分の空気を排出させることで、多湿な環境を軽減させるのです。
そして、春、秋の中間期や温度変化が少ないときも含め
小屋裏と床下の環境を均一化を目指すために最小限の循環のためのファンを稼働させます。

居室の上下の温度・湿度環境を均一化させることが、一年を通して心地よく暮らすための必要条件となるのです。
この温度と湿度環境を目指すための構造が、高気密高断熱なのです! 温度も湿度も断熱、気密化がなされなければ隙間だらけで、ダダ漏れとなってしまいます。
昨今、騒がれている夏場の逆転結露もこうした構造があってこそ防ぐことができます。
ちなみに
岐阜県立森林文化アカデミーの辻先生の防露計算ツールを使ってみるとこんな感じです。

これは夏場を想定していますが、
冬場の壁体内の相対湿度もおおむね80%程度に抑えられているので、安心ともいえます。
高気密高断熱住宅は、ただ省エネルギー性がよいだけではないんです。
本来、高気密高断熱住宅は室温だけでなく、湿度環境も整えていくことが可能となる性能を備えているのです!

少し前になりますが、毎年ずっと参加させてもらっている関東ゼミにも行ってきました。
元々、自立循環型住宅を基礎としておりますが、その性能を担保していくためにも各地の実務者ともいえる先輩工務店や設計事務所さんたちが実際に住んでおられるお家の実測をし、対策や経験を発表して下さる貴重な場でもあります。
それぞれに工法もつくり方も違っていますが、発表を元によりよい方法を目指すべくディスカッションも行われていきます。
自社だけでは得られない経験や情報を惜しげもなく発表してくださいます。
私自身もたくさんの血や肉となるものを頂いてきました!
みんなが互いに高め合う場となるのです。
うちみたいなちっぽけな会社では、もちろん実験なんてできません。
お施主様の家で根拠のないことなんて出来るはずもありません。
こういった場で実証され、たくさんの熱心な実務者たちによってより精選された技術となるものです。
多くの先輩方の経験が、私、益子の頭の中を抜けカタチとなっていきます。
こんな経験から那須住宅の工事現場は進められてゆくのです♪
温度差、湿度差のない環境、暮らしをいっしょに考えてみませんか?
今週も最後まで読んで下さりありがとうございます♪
私たち那須住宅は栃木県大田原市、那須塩原市、那須町を中心に高気密高断熱住宅を自然素材を使って新築・リフォーム・リノベーション・別荘の設計、施工を行っています。
耐震等級3(許容応力度計算)・UA値0.3・C値0.3・自然素材でつくる工務店です。






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